Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 143 455 caractères · 290 écrans

Aozora Bunko

「賽銭箱から鈴の緒まで新しいのと代えて下さるそうで、氏子一同大喜びでございます。それにつけても、こんなに荒れたままで大川屋さんに差上げては、いくら何でもお気の毒だからと申して、玉垣と鳥居を塗ったついでに、木連格子だけは紅殻で塗っておきました。その矢先あの騒ぎで、本当に私どもまで、どんなに迷惑したかわかりません。親分のお力で一日も早く下手人が捕まるように――と、氏子一同そう申しております」

和泉屋の主人の話を聞くと、平次の真っ暗な胸には、サッと一道の光明が射しました。

「有難うございました、いろいろ解りました。稲荷様の罰ということもありますから、そのうちには下手人も判りましょう、お喧しゅう――」

和泉屋を飛出した平次は、その足ですぐ根岸の大川屋の寮を目当てに行きました。まさかガラッ八の真似をして鈴屋になって出かけるわけにも行きません。岡っ引にしては少し手堅い平常着のまま、まず三町四方もあろうかと思うような板塀の外をグルリと一と廻りしてみました。

近所で聞いてみると、大川屋の主人というのは、働き盛りの四十男ですが、早く配偶を失い、先年吉原で馴染を重ねた華魁を請出して、親類の承諾を得て後添いに直しました。