Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 143 455 caractères · 290 écrans

Aozora Bunko

気のついた時はもう夕暮、女の足では明るいうちに帰れそうもなかったので、柳橋の知合のうちを訪ねて、晩飯の世話になり、そこの隠居と小僧に送られて、谷中の自分の家へ帰ってみると、父親の音次郎は、店先の三十貫もあろうと思う仏像に縄をかけ、その一端を長押の上から、居間に通して、その縄の端っこで頸を吊って死んでいたのです。

お崎の驚きは言うまでもありません。大声で近所の人を呼び集め、父の死骸を長押からおろしましたが、身体にまだ温か味が残っているくせに、もう息を吹き返させる術もなかったのでした。

騒ぎの中へ小僧の栄吉は帰って来ました。一刻ばかり前、急ぎの用事で本郷まで使いに出されましたが、門口を出るとき、始終店へ遊びに来る蓼斎に逢ったので、安心して出かけたと言うのです。

町内の人達も駆け付け、翌日は変死人としての検屍も済ませましたが、生前人付合いの悪かった音次郎には、友達も親類もなく、わずかに下谷の万両分限佐野屋正兵衛が、親身になって世話をしてくれ、やがて、孤児になったお崎も、一七日が済んだら、店を畳んで引取ろうと言い出してくれました。

形ばかりの葬式を済ましたのは昨日、何もかもこれでおしまいになって行くのを見ると、お崎は胸に畳んだ大きな疑問のやり場もなく、そっと脱け出して、評判の銭形平次に訴えようとしたのですが、