Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 143 455 caractères · 290 écrans

Aozora Bunko

あの老爺は人などを殺せるはずはないが――三つの時誘拐された娘を捜して、七年の間巡礼すると、どんな心持になるかな」

「とにかく、娘を誘拐したのは音次郎でしょう。娘を捜して七年もの間苦労した人間だから、怨みもまた人一倍じゃありませんか」

「それも理窟だが、――娘の行方は、まだ判らないだろう。音次郎が死んでしまえば、その娘の行方は、この先も判る道理はない」

「なるほどね」

「音次郎の口を塞いだのは、あの百松じゃあるまいよ」

そんな話をしているところへ、飛脚屋から赤紙付の手紙を一通届けて来ました。

「手紙ですよ、親分」

「それを待っていたんだ」

平次は封を切るのももどかしそうに、ザッと手紙に眼を通します。

「親分」

後ろから覗く八五郎。

「八、――この通りだ。あの巡礼の百松は真物か偽物か、川越へ手紙をやって調べて貰ったんだ。その返事はいちいちあの老爺の言う通り、少しの喰い違いもない。頸筋の痰瘤のことまで書いてある。これで俺の考えが決ったよ」

平次は手紙を畳み直して立ち上がりました。

「どう決ったんで――」

「あの老爺が、川越在の百姓百松に相違ないと解れば、今度はお崎の身の上を調べてみなきゃならない。