Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 143 455 caractères · 290 écrans

Aozora Bunko

「…………」

お崎は怨めしそうに見やるばかりです。

その気の進まないのを、どんなに骨を折ってつれ出したことでしょう。昌平橋の角井憲庵――その頃蘭法で聞えた名医のところへ、半ば権柄ずくでつれ込んだのは、その日の夕方でした。

「この娘の左の眼を見てやって下さい。――これは生れながらの丈夫な眼でしょうか、――それとも」

平次のせき込んだ調子を、憲庵は大医らしい沈着さで眺めながら、静かに天眼鏡を取って、お崎の眼を診察し始めました。

「フーム」

しばらく何やら考え込む憲庵。

「どうでしょう先生、この娘の眼が生れつき良いか悪いかで、大変なことになるんですが」

「生れつきの良い眼ではないな」

「しめたッ」

平次はすっかり興奮して、日頃にもないせっかちな顔を突き出します。

「これは手を入れた眼だよ、銭形の、――決して生れつきの良い眼ではない。が、待ってくれ、これほどの療治をする名医は、江戸はおろか、京にも大坂にもないはずだが――」

「長崎ですよ、先生ッ、十六七年前、長崎で療治したのですよ」

「十六七年前長崎で?―― なるほどそれで合点が行った、蘭法の療治を受けたのだろう。それならばよく解る。