Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 143 455 caractères · 290 écrans
「それは構いませんとも、早速連れて来て下さい。家の中に親分方の息のかかった方が居なさると、私達もどんなに心丈夫だかわかりません。なにぶんこの節は、嫌なことばかりありますんでね――いや、これは私の口から申上げることではない」
禄兵衛はフッと口を噤みました。
「ところで番頭さん、この剃刀は、この家の品じゃありませんか」
平次は懐中から、キリキリと手拭に巻いた剃刀を取出し、禄兵衛の手へ渡してやりました。柄も刃もよく拭き込んであるので、もう血の痕などは容易に見付かりません。
「ヘエ、――これは、見覚えがありますネ。誰のだっけ、何しろ大勢のことですから、忘れてしまいますが、柄にこんな器用な細工をする者は、たんとは居りません。ちょいと待って下さい」
禄兵衛はそう言いながら、通りすがりの下女を呼び入れて、剃刀を鑑定させました。
「お嬢さんのだアよ、番頭さん。家中で一番よく切れる剃刀じゃねえか」
相模訛の下女は、何の遠慮もなくそう言って、アタフタとお勝手へ行ってしまいます。
「お嬢さんと言うと?――」
「亡くなったお内儀さんの遠縁の者で、此家の養い娘ですよ」
「その娘さんに逢わせて頂きましょうか」