Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 143 455 caractères · 290 écrans
平次は佐吉に逢って、二言三言、爺やに訊ねたような事を繰り返して、ガラッ八と二人遠州屋の裏口から出ました。
「大層遅くなったな、八」
「子刻(十二時)でしょう。――ところで親分。やはりあれは殺されたんでしょうか」
「お前の言い草じゃないが、物干から身投げをする者はないよ。だが、殺した証拠は一つもないんだから、検屍にも及ぶまい」
「誰がやったんでしょう」
「それが判りゃ」
二人はそんな事を言いながら柳原へかかろうとすると、後ろからヒタヒタと跟けて来た男が、
「親分さん、ちょい、お待ちなすって」
いきなり声を掛けました。
「爺やさん。お前さんが跟けて来るのは知っていたよ、何か言いたいことがあるんだろう」
「ヘエ、お察しの通りで。私は遠州屋には、先々代様から三十年も御厄介になっております。見す見す御主人夫婦が悪者の手に掛って亡くなられたのを知りながら黙っちゃいられません」
仁助爺やは、ハアハア息を切りながらも一生懸命でした。
「心当りがあるとでも言うのかえ、爺やさん」
「心当りどころじゃございません、――泳ぎの御自慢な御主人が溺れて、徳利の六郎さんがノコノコ生きて帰って来た時から、私はもうこんな事になるだろうと思っておりました」