Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate
三
――その牢屋は」
「日名倉の木戸だと、村の衆はうわさしていただが」
「日名倉――」
国境の山の線を、呪いにみちた眸がじっと振り仰いだ、もうその辺りの中国山脈の脊柱は灰色の夕雲に、斑になって黒ずんでいた。
「よしっ、貰いにゆくぞ、姉上を……姉上を……」
呟きながら、武蔵は木剣を杖について、水音のする沢辺の方へ、一人でガサガサと降りて行った。
三
勤行の鐘が、今しがた終った。旅へ出て留守だった七宝寺の住持も、きのうか今日、帰って来ているらしい。
外は、鼻をつままれても分らない闇だったが、伽藍のうちには、あかい燈明や庫裡の炉の灯や、方丈の短檠がゆらぐのが覗かれて、およそそこに起ち居する人影も淡く見てとれる。
「お通さん、出てくればいいが……」
武蔵は、本堂と方丈との通路になっている橋廊架の下に、じっとうずくまっていた。夕餉の物を煮るにおいが生あたたかく漂ってくる、彼は、けむりの出る汁や飯を想像した、この数日、生の小禽だの、草の芽などよりほか、何も入っていない胃ぶくろは、胸さきで暴れて、痛みだした。
「がっ……」
口から胃液を叶いて、武蔵は苦しんだ。
その声がひびいたとみえ、