Classici giapponesi con furigana
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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
Leggi 三国志(七) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N1. Tocca una parola per il significato.
N1 · avanzato · kanji e kana moderni · 371.916 caratteri · 744 schermate
たちまち、宮廷のそこかしこに、常ならぬ跫音が乱れはじめた。ふと見れば、魏の親族たる曹休、曹洪のふたりが、剣を佩いたまま殿階へ躍り上がって、
「符宝郎はどこにいるかっ。符宝郎、符宝郎っ」と、大声で探し求めていた。
符宝郎とは、帝室の玉璽や宝器を守護する役名である。ひとりの人品の良い老朝臣が、怖るる色もなく二人の前へ近づいた。
「符宝郎祖弼はわたくしですが……?」
「うム。汝が符宝郎の職にある者か。玉璽を取りだしてわれわれに渡せ」
「あなた方は正気でそんなことを仰せあるのか」
「拒む気か?」
曹洪は剣を抜いて、祖弼の顔へつき出した。――が祖弼はひるむ色もなく、
「三歳の童子も知る。玉璽はすなわち天子の御宝です。何で臣下の手に触れしめてよいものぞ。道も礼も知らぬ下司ども、沓をぬいで、階下へ退れっ」と、叱咤した。
洪、休のふたりは、憤怒して、やにわに祖弼を庭上に引きずり出し、首を斬って泉水へほうり捨てた。
すでに禁門を犯してなだれこんだ魏兵は、甲を着、戈を持って、南殿北廂の苑に満ちみちていた。帝は、いそぎ朝臣をあつめて、御眦に血涙をにじませ、悲壮な玉音をふるわせて一同へ宣うた。