Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

Leggi 三国志(七) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N1. Tocca una parola per il significato.

N1 · avanzato · kanji e kana moderni · 371.916 caratteri · 744 schermate

Aozora Bunko

宵になると、狂風はいよいよ勢いを加え、夜空に砂が舞っていた。馬も兵もみな眼をふさぎ、四方の陣門から入って、さしも広い営内も真っ黒に埋まるほどだった。やがて眠ろうとする頃である。風音ならぬ金鼓の音が四方に響いた。すわと人馬が、中で騒ぎだした時は四面ともに焔の壁、焔の屋根となっていた。

踏み殺され、焼き殺され、阿鼻叫喚が現出した。

「しまった」

孟獲は一族の少数の者に囲まれて、危うくも一方の口から猛火をのがれた。しかし外へ出るや否、

「蜀の大将趙雲」と、呼ばわる者に追いかけられた。

西河に残してある諸洞の軍勢の中へ逃げ込もうとすると、その味方もほとんど蹴ちらされて、後には蜀の馬岱軍が入れ代っている。胆をつぶして、中途から引き返そうとすると、すでに退路も蜀兵の影に占められている。

山へ逃げ、谷へかくれ、一晩中逃げまわった。しかも道のある所かならず蜀軍の金鼓が響き、鎗戟が殺出した。

わずか十数人の部下と共に、孟獲はへとへとになって、西方の山の腰へ降りてきた。夜が明けている。見ると彼方に一叢の椰子林があった。一隊の兵と数旒の旗が、一輛の四輪車を押し出してくる。