Classici giapponesi con furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Leggi 三国志(三) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 312.452 caratteri · 628 schermate
夜が明けて、朝霧もはれかけてくると、小手をかざして彼方の陣地から見ていた劉表、張繍の兵は、
「なんだ、あんな小勢か」と、呟いている様子だった。
「あんなものだろう」と、うなずく者はいった。
「このあいだは五万から戦死しているし、それに、難行苦行、敗け軍のひきあげだ。途中、逃亡兵も続出する。病人もすててくる。――あれだけでもよく還ってきたくらいなものだろう」
軍の幹部たちも、その程度の見解を下したものか、やがて要害を出て、野を真っ黒に襲撃してきた。
充分、侮らせて。
また、近よせておいて。
曹操は、突然山の一角に立ち現れて、
「盆地の襲兵ども、今だぞ、淵を出て雲と化れ! 野をめぐって敵を抱きこみ、みなごろしにして、血の雨を見せよ」
と、号令を下した。
眼に見えていた兵数の八倍もある大兵が、地から湧いて、退路をふさぎ、側面前面からおおいつつんで来たので、劉表、張繍の兵はまったく度を失った。
曠野の秋草は繚乱と、みな血ぶるいした。所々に、死骸の丘ができた。逃げ争って行った兵は、要害にいたたまらず、山向うの安象の町へ逃げこんだ。
「県城も焼きつぶせ」
曹操の兵は、鬱憤ばらしに追撃を加えて行ったが、その時またも――実にいつも肝腎なもう一攻めという時に限って意地わるくくる――都の急変が報じられてきた。