Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 231.525 caratteri · 463 schermate
お甲は笑って、
「拗ねたよ、この坊やは」
と、瑪瑙珠のついている革巾着を、彼には与えたが、あまり欣しがらなかった。
夕方――この後家は、良人のいたころからの習慣らしく、必ず風呂に入って、化粧して、晩酌をたしなむ。自分のみでなく、朱実にもそうさせる、性質が派手ずきなのだ、いつまでも若い日でありたい質なのだ。
「さあ、みんなお出で」
炉をかこんで、又八にも酌ぐし、武蔵にも杯を持たせた。どうことわっても、
「男が、酒ぐらい飲めないで、どうしますえ。お甲が、仕込んであげよう」
と、手くびを持って、無理に強いたりした。
又八の眼は、時々、不安な浮かない顔つきになって、じっとお甲の容子に見入った。お甲はそれを感じながら、武蔵の膝へ手をかけ、このごろ流行る歌というのを、細い美音で口遊んで、
「今の謡は、わたしの心。――武蔵さん、分りますか」
といったりした。
朱実が、顔を外向けているのも関わず、若い男の羞恥みと、一方の妬みとを、意識していうことだった。
いよいよ、面白くないように、
「武蔵、近いうちに、もう出立しような」
又八が、或る時いうと、お甲が、
「どこへ、又さん」