후리가나로 읽는 일본 고전
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
木暮 理太郎의 山の憶い出 上(ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ))을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 284,014자 · 565화면
そして眼はいつの間にか南の空に縹緲として積翠を湛えた秩父の山奥深く迷い込んで行くのが常であった。この頃でも秩父山という名は絶えず村の人が口にしていたものであるが、東西の御荷鉾山は別として、怪奇な姿をした両神山の名は、既に知らぬ人が多かった。況して三宝、甲武信、雲切の諸山から東に亘る長い連嶺の如きは、僅に武甲山を除くの外、村の物識りと許された老人すら、試に自分が指点した山に対して其名を教えることが出来なかった。一度自分はもどかしさの余り、三峰参詣の人に頼んで山の名を聞き糺して貰った時、其人は雲取山の名を齎し帰ったのは好いが、可笑しいことにはどの山が夫であるか遂に分らなかった。秩父山は依然たる大きな謎の塊で、幾多の峰は夫々解き難き一の謎のように想われた。自分が遠望して山奥深く迷い込んだと書いたのも、強ち無理ではあるまいと思う。
然し謎は終に解かれた。如何なる想像の大飛躍をも妨げなかった謎の秩父奥山は、旅行の度毎に輪廓だけを朧げに残して次第に消え失せた。同時に強く自分の眼を刺戟した山肌の部分が、次から次へと代って其位置を占めた、木喰い虫が虫糞でその穿った孔を填めて行くように。