후리가나로 읽는 일본 고전
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
国枝 史郎의 蔦葛木曽棧(つたかずらきそのかけはし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 335,908자 · 669화면
姿が闇にはっきりと
姿が闇にはっきりと
「ここが西小寺でござるかな。なるほど立派な銀杏がある。本堂の縁にでも腰をかけて、お夏狐の化けて出るのを相待とうではござらぬか」
木村常陸介はこう云いながら伴侶の山尾を返り見た。
「それがよろしゅうござりましょう」山尾は軽く返辞えながら、云われるままに常陸と一緒に本堂の縁へ腰をかけた。
夜はもう初夜を過ごしていた。四辺は暗く物寂しく、どんよりと曇った空のどこにも星影一つ見えようともしない。寺の境内は広々と暗夜の中に拡がってはいるが、どこが地面やら見分けもつかず、遥か離れた左手の方に闇の黒さを貫いてそれよりも黒く聳えているのはお夏狐が住むとかいう数百年を経た銀杏の巨木! 梢は雲にも届くであろう、闇に隠れて今は見えない。
今まで渡っていた風も絶えて死んだように静かな夜の中に常陸と山尾ただ二人だけがいつまでも無言で腰かけていた。
本堂の背後は墓地でもあろうか、浮世に未練を残した亡者が地下で窃かに咽ぶかのような夜鳥の啼く声が聞こえて来る。コツコツコツコツと叫ぶのは餌を漁っている夜鷹であって、ギャッ――と鋭く喚くのは敵に襲われた鵜烏である。
夜は次第に更けて行った。