후리가나로 읽는 일본 고전
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
国枝 史郎의 蔦葛木曽棧(つたかずらきそのかけはし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 335,908자 · 669화면
荒狂う大熊
眼の前は洞然たる谷であって、底に向かって茂った樹々に深山の雪が降りかかり幹さえ枝さえ見え分かない。その雪持ちの森々たる樹立ちは互いに枝を重ね合い段々たる層を形成って底に向かって崩れている。そして崩れ切った谷底には大河が流れているらしいが水は氷に鎖ざされて木の間を洩れて射す陽光にわずかにキラキラと輝くばかり、谷を隔てた向こうの峰までは三町余りもあるだろうか、峰の斜面は陽光を受けて虹のように燦然と輝き返り、その岨道を大鹿の群が脚並み軽く走ってはいるが、人の姿は影さえもない。
空は蒼々と澄み返り、呼べば答えを返しそうに片雲を浮かべて静まり返り、不断に火を吐く大日輪はその中ほどに燃えている。が照らされて見える人影はない。もしやと思って武兵衛と数馬は登って来た方を見返って見たが、冬霧朧ろに径を閉ざして煙りのように立ち迷うばかり、生物の影さえ一つもない。二人は声を張り上げて当てもなく二、三度呼んで見た、寂しく木精が返るばかりだ。
二人の元気は消えようとした。どっちへ行ったらよいのだろう? 八百人の大同勢はどの方角へ行ったのだろう? 二人は茫然と佇んで谷の向こうを眺めていた。