후리가나로 읽는 일본 고전
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
国枝 史郎의 蔦葛木曽棧(つたかずらきそのかけはし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 335,908자 · 669화면
嵐の夜
執念く切りかかるお吉の鎌を左右に辛く外しながらほとんど心はここになかった。
「早く早く一時も早く右衛門さんに追い付かねばならぬ。一時遅れれば一時だけ右衛門さんの命が縮む」――こう思う心に急き立てられともすると体に隙が出来た。お吉の心はそうではない。
「おのれ憎いはこの島君! 思う男を取ったよな! どうせ添われぬ我が身ならこの女の息をも止めてくりょう! 右衛門さんとはよも添わすまい」
お吉の心はただ直向きに島君殺しに懸かっていた。自然体に隙がない、皮を切らせて肉を切り、肉を切らせて骨を切る、この意気でジリジリと付け廻わした。
自ずと勝敗の数は知れた。次第次第に付け廻わされて島君は後へ後へと退る。こうして谷の縁まで来た。一歩退がれば谷である。島君は左の片足を危く突き出た岩へ掛け右足を前へ踏みしめてわずかに体を立て直した。
「さあもう遁がさぬ! くたばってしまえ!」
お吉は大鎌を振り冠り、嬉しさに声を顫わせながら正面に島君に立ち向かった。
島君も笄を握り締め、頭の上へ振りかぶり、闇にもそれと輝いて見えるお吉の眼の辺りへ眼を注ぎ、じっと油断なく構えたが、足場は悪し急ってもおり既に危く思われた。