일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)

山の憶い出 上

木暮 理太郎

木暮 理太郎의 山の憶い出 上(ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ))을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 284,014자 · 565화면

아오조라 문고

俗に鬼怒沼四十の称があるのも偶然ではないが、雨期にはこれ等の池が増水して一に連り、満々たる大沼を出現するということは到底信じられない。

いつの頃か此原に一人の姫が住んでいた。鬼怒沼の美に憧れて稀に訪い来る里人は、八千草の咲き匂う花の中で姫の機織る梭の音を聞くのが常であった。里人はそれを衣姫と呼びなしていたが、ついぞ姫の姿を見た者はない。或時暁かけて此原をおとずれた一人の若者があった。晴やかな五月の一と日である。美しい原の景色に恍惚としていた若者は、ふと池の面に白い霧のようなものが漂うているのを不審に思った。瞬もせずに見詰めていると、やがて忽然として手に梭を持った気高い乙女の姿が顕れた。あたりに人ありとも知らぬ乙女は、水の上をするすると渉りながら岸に近付いて、嫣然と笑みつつやおら花咲く原に歩を移さんとした刹那、不意の人影に驚いて振り返りさま手にした梭を若者に投げ付け、掻き消すように失せてしまった。人心地もなかった若者は三日過ぎて家に連れ戻されたが、熱を病んで七日の後には最早此世の人ではなかった。夫以来衣姫の梭の音は聞くことを得ないという。

四方を黒木の深林に囲まれた原の中央に立って眺めると、ここは衣姫の機織る場所ではなくして、森の精――サチルスやジレニ――が恣に踊り狂う饗宴の場所であるように想われる。