후리가나로 읽는 일본 고전
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
木暮 理太郎의 山の憶い出 上(ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ))을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 284,014자 · 565화면
皆急いで蜆坂の登りに取り懸った。坂とはいうものの傾斜の少し緩い絶壁であるから、足で登るよりも手で登る場合の方が多い。併し下から見上げて考えた程危険では無かった。岩は堅くて凹凸がある。五分の手懸り足懸りも安全に生命を保障して呉れる。勿論些の油断を許さない、刻一刻と移動して止まない体重の中心を、微妙に調節するあらゆる筋肉の働と、集注的な強い意識とを必要とする。
一滴二滴と雨が落ちて来た。倏にして太い銀針のような雨脚があたりを真白にしてしまう。折々電光が物騒しく動揺する大気を掠めて、仄に赤く眼を射る。雷鳴は左程ひどくもなかったが、岩に獅噛みついて崖の中途を蝸牛のように這い上っていた私は、叩きすくめられたように立ち留って、岩を伝う滝の如き雨水を頭上から浴びた。雨具と思うけれども、人夫とは離れているし、よし又近くにいても、銘々が自分の身一つを守るより外には余念のない瞬間なのだ、如何なるものでもない。漸く百米余りを上って尾根の一端に縋り着いた。早速荷を解いて雨具を着けたがもう遅い。雨が復た強く降り出したので、とある大岩の根方に逃げ込んで僅に夫を凌いだ。岩の軒からは私達を匝って雨垂れが太い水晶簾を懸る。