후리가나로 읽는 일본 고전
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がくせいものがたり
楽聖物語
野村 あらえびす
野村 あらえびす의 楽聖物語(がくせいものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 193,667자 · 381화면
チャイコフスキーの音楽に、一脈の大衆性のあるのは、その音楽の低俗さの証明ではなくて、かえって、気高さの結果であり、優れたるものの一般性のためであると言っても差しつかえはない。彼の「憂鬱の全音階を支配した」と言われた絶望の音楽の底には、言うに言われぬ温かさがあり、その悲嘆と慟哭とのうちには、大きな光明への予感が芽ぐむのである。
バッハの神性は凡人に近づき易いものではなく、ベートーヴェンの激情は、一般大衆の経験を遙かに絶したものである。しかし、わがチャイコフスキーの悲哀と絶望感にいたっては、何人も想像し得る境地であり、経験し難からざる感情である。われらは実生活において、悲しんで悲しみの底を嘗め尽し難き生温さを、チャイコフスキーの芸術を介することによって、始めて悲哀のドン底を衝き、浄化された悲哀の美しさを味うことが出来るのである。チャイコフスキーの音楽が万人に愛せられるは、万人の経験し易く、達し難き感情の極致を、きわめて容易に、そしてきわめて美しく描き出したためではなかったであろうか。
とにもかくにも、特殊の色彩と香気を持った音楽を知るために、しばらくその気の毒な伝記を見ることは、決定的に必要であることは言うまでもない。