후리가나로 읽는 일본 고전
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
国枝 史郎의 蔦葛木曽棧(つたかずらきそのかけはし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 335,908자 · 669화면
遥かの山の峰の方から、鋭く吠える獣の声は饑えた狼の声である。
あるいは下りあるいは登り、道なき道を突き進み、一刻あまり進んだ時、忽ち曠茫たる芒の原、星の下辺に見え渡り、一群色濃き森の中よりわずかに見える灯の光。
「さては人家があるそうな」
右門も山尾も勇み立ち、松火振り立て振り立てて、光を目あてに進んで行く。
近づくままによく見れば、杉の林の真ん中ほどに、堂々と立っている書院造り。さながら城廓かと思われるばかり。しかも灯火煌々と輝き、多勢の客でもあると見え、人語笑声に打ち混り、音楽の音色さえ聞こえて来る。
右門と山尾は眼を見合わせ、あまりの意外に進みも出来ず、そのままそこに立ち止まった。
すると館の音楽は忽ちハタと音を停めて、人声さえも静まったが、その静けさも一刹那、忽ち聞こえる横笛の音。それに続いて鼓の音。その囃子さえ一しきり、錆のある肉声の歌うを聞けば、
花咲かば告げんと云いし山里の、使者は来たり馬に鞍……と、鞍馬天狗の謡である。能の催しでもあると見え、凛々として聞こえて来る。
山尾と右門はそれを聞くと、さては由緒ある武士の隠遁所ででもあるのだろうと、忽ち、勇気を振り起こし、灯火を目差して進む時、鋭い矢声発止と掛かり、ひょうと飛び来る白羽の矢。