후리가나로 읽는 일본 고전
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
国枝 史郎의 蔦葛木曽棧(つたかずらきそのかけはし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 335,908자 · 669화면
それから若衆は帰って行った。二人はいまだに唯の一度も枕を交わせたことはない。鳰鳥は誰とでもそうであった。白髯の殿とは云うまでもなく、誰とでも枕は交わさなかった。それがかえって彼女を光らせ、彼女を全盛の遊女にした。
鳰鳥は若衆を送り出すと、心しずかにただ一人、褥を冠って寝に就いた。とすぐ、彼女を死が襲った――これまでも彼女をよく襲った、短かい仮死の状態が、眠りかけた彼女に襲いかかった。夢と幻とを合わせたような、恍惚境の只中に、彼女ははいっているのであった。そして彼女は、異形の人から説教を聞いているのであった。異人は日本の人ではない。黒い法衣を纏ってはいるがそれも日本のものではない。手には彼女の持っているような、黄金の十字架を持っている。その十字架には架刑にされた人間の像が取りつけてある。異人は岩頭に坐っている。前には大河が泡を噛んで大蛇のように走っている。それらのものの背後には、鬱々と茂った緑の山が、すくすくと空に聳えている。明るい美しい陽の光が、山々谷々に充ち漲れ、空には赤い太陽と蒼白い月とがかかっている……。
異人は彼女に説教はするが、どうしてもその声は聞こえない。