일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

国枝 史郎의 蔦葛木曽棧(つたかずらきそのかけはし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 335,908자 · 669화면

아오조라 문고

鳰鳥は四辺を見廻わした。

秋の深夜はいつか曇って、寞々とした雲棚引き、東の涯にただ一つ糠星が瞬いているばかり、四方を囲繞く峨々たる山は、闇を凌いで黒く聳え嵐に吹かれて唸りをあげ、山裾を流れる大河の水は岩に遮かれて叫んでいる。

鳰鳥はその時遥か下の分けても嶮しい岩の上で――巴ヶ淵の岩の上で二人の武士が刀の柄へ物々しく右手を掛けながら云い争うているのを見た。一人は花村甚五衛門、もう一人は「傷のお方」であった。

しかし二人の姿さえ瞬くうちに消え去って、彼女は一人雲に乗り、木曽川の上を飄々と黒蝶のように飛んで行く。

忽ち彼女は背後の方で風の唸るのを耳にした。と思う間に嵐を孕んだ一座の黒雲に身を乗せた一人の気高い若者が、彼女の後ろを追って来たが、摺れ違う時振り返り、幽かに笑うて過ぎ去った。紫匂う振り袖にあけぼの染めの袴を穿き、若衆髷さえ艶々しい。それは「紫の君」であった。

こうして彼女は木曽義明の館まで、怪しい雲に送られて夢現ともなく来たのであった。

「鳰鳥何を考えておるぞ。そち一人鬱いでいるために、酒宴の座敷が陰気になった。まずまず酒でも呑むがよい。さあこの大盃をつかわすほどに、そちの手並みで呑み干して見やれ」