轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
「石狩川」大観堂、1939(昭和14)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 253,535 字 · 506 页
こういう結果は見えていたとも考える。だからあの日、朋輩の玉目三郎に向ってずいぶん諫めたものだ。――時期を見なければならない。たといどれほど苛烈な新政権とは云え、無から有を生ずるわけはないのだ。確立すべき土壌は前の時代を措いてはあり得ない、野の遺賢は貢士として集められ、集議院をつくっているのだ。薩賊討伐の檄をとばした憎まれものの雲井竜雄さえその一員に迎えた。これがありのままの状勢である。ああてて流竄のうきめを見る必要はないではないか。
見ろ、思った通りになって来た。逼迫していた彼らにも仄かな明るみが見えて来た。はばかるところなく呼吸づけそうな世間になった。徳川幕下の旗本として、最後まで函館に拠って手むかった家臣の一群ですらも許されているのだ。それを、おぬし玉目三郎は、聞けば水におぼれて消え、元も子も無くしてしまった。そして、その同じ運命が蝦夷地にいる家中のものを待っている。お家のために――やめて貰わなければならない。やめなければならない。
彼は先に立ってすたすたと歩いた。足音によって、うしろには阿賀妻が連れ立っているのをちゃんと知っていた。お松のご門では、おだやかな夜風が梢に軽くさわいでいた。