轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いしかりがわ

石狩川

本庄 陸男

「石狩川」大観堂、1939(昭和14)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 253,535 字 · 506 页

青空文庫

立ちふさがっていたものが居なくなったためかも知れない。滲むような微笑が、彼の噛みしめた口もとに漂うのだ。

「痩せたな」と彼は阿賀妻に云った。

「それに就いて、いろいろ、――」

そう云いかけるのを、邦夷は首をふってとめて了った。

「ああ、よい、あれは――もうよい、身どもはこれで満足しておる」

阿賀妻は眼を伏せて硬くなっていた。むしろ、一言ぐわんと怒鳴りつけてくれたらどんなに気が楽になるであろうと思うのだ。

それをまた、邦夷は、直接に自分の胸に感じている。前後の事情を考えあわせてみるとき、とにかく、これだけの条件を取り得たことさえ成功と思わねばならぬのであった。

自分の意の下にあると思った家中のものがあれほどまでに変っていた。はじめから支配者である役人どものその場あたりの言質に偽りがあったとしても止むを得ない。云わば方針の改変として示されるそういう不誠意については、誰がどんなに反撥してみても詮ないことである。たとい邦夷が自身に談じ込んだとしても、事情は恐らく、悪くなっても、これよりよくはならなかったろう。彼はその点に関する限りは、これと思う家臣を絶対に信頼していた。