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ちょうにんげんエックスごう
超人間X号
海野 十三
「冒険クラブ」1948(昭和23)年8月~1949(昭和24)年5月号、「超人間X号」光文社、1949(昭和24)年12月刊行の上記単行本で完結
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,025 字 · 178 页
「あのX号は、あの時サハラ沙漠の上で、ほんとうに死んでしまったのだろうか。ひょっとしたら、あのまえにロケットから飛びおりて、どこかにかくれ、まだ生きのこって再挙の日を待っているのではないだろうか」
戸山君は、一度博士に向かって、その疑いを口に出して話したことがあった。その時谷博士は、おだやかな微笑を浮かべていたのである。
「戸山君。あるいはそうかも知れない。ぼくにしても、そうでないとは、いいきれないのだ。だがもしX号が、かりにどこかに生きておったにしても、感情もない、愛も道徳もない生物は、いくら智力がすぐれていても、世界は支配できないよ。そうした生物は、けっきょく自分の智力の前に倒れるのだ。X号のことなどはもう気にかけずに、人類の智力を、一歩でも向上させるために、死ぬまで働きつづけようじゃないか」
これが、この悟りをひらいた大科学者、谷博士の最後に達した、すみわたった心であった。