轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

どうひょう

道標

宮本 百合子

第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页

青空文庫

伸子と素子とがはじめてモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)について、窓から降る初雪を眺め、胸をときめかせてクレムリンの時計台がうち出すインターナショナルの一節に耳を傾けた一九二七年の夜、パッサージの二人の給仕たちは、全く忙しかった。伸子たち数人の日本人のいるタバコの煙のたちこめた室に、夜十時すぎてからサモワールを運びあげ、夜食の茶道具を運び上げて、二つの急な階段を上下したばかりでなかった。注文があればパッサージのどの室へでも正餐の料理を運ばなければならなかったし、一本の鉱泉水のために、もう若くない給仕のボリスが、あら毛の生えた太った頸すじを赭らめ、額に汗の粒を浮せながらうすよごれたナプキンをふってのぼって来るのに出くわしたりすると、伸子は気の毒な気がしたものだった。廊下のどこかでドアの一つが開けはなされていて、そこから無頓着な男の大声が、

「ダワイ・ナルザーン(ナルザン水をもって来な)」

と叫び、その声の主よりずっと年をとっているボリスの不機嫌な喉声が、昔の召使が主人に対してつかっていたとおりの言葉づかいで、

「スルーシャユ・ス(かしこまりました)」