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どうひょう

道標

宮本 百合子

第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页

青空文庫

二

「若い連中のなかには、だいぶ千載一遇組がいるらしいですよ。吉ちゃんなんか、この際ベルリンあたりも見ておきたいんじゃないかな」

「そう云うわけだったんですか」

新しい興味で目を大きくした素子は、

「吉之助の今のたちばなら、出来ないこともないんでしょう。――行きゃいいさ」

好意のあらわれた云いかたをした。

二

吉之助のベルリン行きの希望とその実現計画について話すにつけても、中館公一郎は、歌舞伎が滞在しているという自然な機会のうちにモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)で吸収できるだけの収穫を得ようとする自分の熱心もおさえかねる風だった。あしたのソヴ・キノ見学について、素子とうち合わせた。

「エイゼンシュタインも偉いですよ。そりゃたしかにすごい偉さなんでしょうけれどもね、僕らは製作の実際で、お話にもなんにもならないしがない苦労をさせられているんでね。ソヴ・キノの製作企画や、仕事のしぶりみたいなことも知ってみたいんです」

三人が行ったときエイゼンシュタインは、丁度ソヴ・キノの大きい撮影室で、農民が大勢登場して来る場面を準備しているところだった。舞台は、農民小屋の内部だった。