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どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
目には見えないで自分といっしょにいるどっさりの者にいちいちたしかめるような思いで伸子は、素子と腕をくみ合わせ、雑沓につき当ったり、押しつけられたりしながら音楽と赤旗とプラカートの林に埋った街々を歩いた。
伸子たちは、暫くトゥウェルスカヤ通りを上下してから、劇場広場を迂回し、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)河岸の公園へ行ってみた。一方にクレムリンのダッタン風の外壁が高く聳え、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)河のひろやかな流れに臨むその公園は六月に咲きみちるリラの茂みの美しさと、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)には珍しい水の眺めのある公園として、人々から愛されている。
伸子たちは、公園の人波にさからう方角からはいって行った。というのは、赤い広場の行進を終ったすべての列は、必ず一応、この公園の側へおりて来て、そこからめいめいの方角へ散るのだったから。
赤い広場の方からは、絶え間なく湧きたつウラーがとどろいて来る。ことしは、この河岸の公園にもラウドスピーカーがとりつけられているから、赤い広場のスタンドの上から送られるメーデーの祝賀と激励の挨拶の声は、ウラーのどよめきとまじりあって埃っぽくなった公園の空に響きわたり、ぬくまった正午のモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)河の水面に