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どうひょう

道標

宮本 百合子

第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页

青空文庫

「まあ、ちょっと見て!」

その新聞をふりまわして、素子に見せた。

「ハハハハ」

素子は、椅子にのけぞるようにして笑った。

「のんびりしていて、しごく結構じゃないか。姉のすすめにしたがっては、傑作だ。この調子なら、きみのおっかさんも安心だろうさ」

「――察して頂戴!」

和一郎の明日の人生にとって、この答えは何たることだろう。伸子はそう思わずにいられなかった。

その談話が、はたして和一郎の話したとおりかどうかは、伸子にわかりようもなかった。しかし、そっくりそのままでなかったにしても、和一郎のインタービューの気分は、若い和一郎夫妻の、のんびり工合に焦点をおいた記事をかかせる種類のものであったことに、ちがいはなかった。和一郎に、期待するというほど明瞭な感情ではないにしろ、ぼんやり伸子が抱いていた好望のこころは、くずれた。結局、和一郎は気まかせな人生を送るだけの男だろうか。そのようにも社会の現実からはなれた和一郎を肯定して小枝にはきびしく内助の力量にかけている若妻として多計代が見ているような佐々の家庭内の姿。そこは伸子にとってちっとも帰りたい場所ではなかった。

日本では共産党がたびたび狩り立てられている。