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どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
からもどっさりの少年少女が来た。そういう孤児たちの笑声。働きかた。クロッキーにしか描けないくらいあの連中の生活は動的だった。彼らの肉体のとおり精神も。十一二歳の少年少女の観念のなかには、国際情勢というような言葉がその内容のあらましをもって生きていた。
パリというところについて、固定した見かたや感じかたをそのままうけいれている人にとっては、伸子のこういう連想と比較は、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)から来た人はああだから、と敬遠的に云われることなのかもしれなかった。磯崎恭介がソヴェト・ロシアの新しい絵や画家の生活、その集団が絵画上に提出している問題について、伸子たちから積極的にきこうとしないことは、伸子たちが絵画についての素人だからというためばかりだろうか。そして、伸子たちに自分の制作を見せたがらないのも。――伸子は、このことを別様に感じとっているのだった。磯崎恭介は、パリで絵を勉強している自分に、ソヴェト・ロシアの絵はどこか別のところのものと、考えているのだ。
予想される感じかたのくいちがいは別のことにもありそうに思えた。たとえば伸子が、パリへ来たら、ホテルの部屋にベッドばかりかさばっていて、わたしたち二人がゆっくり坐れるところは露台のわきしかないのよ、と云ったとしたら、それをきいた人たちは、