轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
五月の夜、若葉の香の濃い並木道のアーク燈の下をぞろぞろ散歩しているモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の人々にまじって歩きながら、伸子はこの群集の流れの中で、あの赤インクのかぎを負っているのは自分だけだと思うと変な気がした。わきに並んで、時々腕をくみ合わせたりして歩いている素子にさえ、伸子のその奇妙な感じはわかっていない。モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の生活は、伸子を、日本にいたときはあることさえわからなかった広い複雑な社会現象のなかへつき出した。伸子はそれだけ自由にのびやかになった。そしたら、これまで気づかずにいたいろんな意味での赤インクのかぎが、自分にかかっていて、周囲に動いているモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の人たちにはかかっていないことを、見出しているのだった。
こういう心の状態で夜の並木道を散歩しているときなどに、伸子がもうちょっとで素子に話しそうになっては、話さなかった一つの気もちがあった。モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へ来る年の秋、駒沢の奥の家に素子と住んでいたころ、素子が買って来て伸子も読んだブハーリンの厚い本の中に書いてあったことにつながっていた。