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どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
「すみませんが、じゃあお二人でいっしょに会って下さいませんか、おかまいなかったら、ここを拝借して」
と云った。
「それがいい。ここで、みんなで会いましょうよ。そして、わたしが主に通訳するわ」
伸子が、あっさりひきうけて云った。
「そのかわり、わたしは、みんな普通の云いかたでしか云えなくてよ。だから吉之助さんはかんを働かして、ね」
「それで結構ですとも。ガーリンさんは型のきまりのことが知りたいらしいんです」
「それ見なさい」
素子が伸子の軽はずみをからかうように睨んでおどかした。
「きまりなんか、ぶこちゃんの軽業だって、説明できるもんか」
「そうでもないでしょう」
とりなすためばかりでない専門家の云いかたで吉之助が説明した。
「わたしに、どういう場合ってことさえわからせてもらえばいいんです。あとは、どうせ体で説明するんですからね」
「なるほどね」
その晩は吉之助にも約束がなくて例外のゆっくりした夜だった。三人はテーブルをかこんでモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の書生ぐらしらしくイクラや胡瓜で夜食をした。吉之助は、しんからそういう単純な友人同士の雰囲気をたのしく感じるらしく、