轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
と云いだした。
「ええ。突然のことだし、大体、あんまり例のないことですからね」
ソコーリスキーは、気のきいた黒い髭に指を当ててちょっと考えていたが、
「そうです、そうです」
自分にむかっても合点するように頭をふった。
「われわれの生活には、例のないことも起ることがあるんです。――ともかく正餐をすませてからにしましょう」
細君はひとことも口をきかず、赤いむらむらは消えたかわり妙に色がくろくなったような顔で、まずそうに犢の肉を皿の上でこまかくきっている。
ほとんど口をきかないで食事が終った。細君はすぐ立って寝室の方へ去った。アニュータがテーブルを片づけに入って来た。うちのなかにおこることは何から何まで知られて困らない召使をもっている人間の気がねなさで、ソコーリスキーは早速、
「では、われわれの事務を片づけましょう」
と、ディヴァンの方へうつった。
ソコーリスキーは、細君が伸子たちに云ったと同じことを、細君より順序よく、もっと重要性をふくめてくりかえした。ソコーリスキーが、神経の亢奮やいらだちをおさえて、出来るだけすらりとことを運ぼうと希望しているのは明瞭だった。