轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
六
部屋そのものは、伸子たちのかりたところよりも倍以上ひろかった。けれども、窓ぎわにごたごた子供部屋らしい品々をのせたテーブルがあるきりで、デスクはないし、スタンドはないし、伸子たちは避難民のようにベッドの上に坐って、建物の内庭に面した暗い窓の外に降っている雪を眺めた。
その晩、伸子が手洗いに行ったら、まだ灯のついた食堂のドアが開いていて、細君が葡萄酒の壜とコップとをのせた盆をうやうやしげにもとの伸子たちの部屋へ運んでゆくところだった。
六
あくる朝、伸子と素子とは目ざめ心地のわるい気分で、乳くさい部屋の第一日を迎えた。顔を洗って来た素子が、男ものめいた太い縞のガウンを着て、手拭をもって、臨時にあてがわれている部屋へ戻って来るなり、
「保健人民委員にミャーコフっていう男がいるのかい」
ときいた。
「――知らない」
伸子は、ソヴェトの指導的な人々の名をいくつか知っていたし、ある人々の写真をエハガキにしたのも数枚もっていた。けれどもそれは一年もモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)に暮している自然の結果で、政府の役人の一人一人についてなど、知っていなかった。