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どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
職業をきかれたとき、婦人作家と答えた伸子は、現実にあらわれたとんまを、自分に対してつらい点で感じるわけだった。
「わたしたちは、むしろ自分たちがわるかったと思っているんです。しかし起ったことは起ったことですからね」
素子が、その私服のひとにタバコをすすめながら云った。
「報告すべきだと考えたわけです」
「そうですとも。それにわれわれとしては、あなたがた外国のひとが、ピオニェールという点でその小僧を半ば信用されたことを、非常にお気の毒に思います。且つ遺憾とします」
ああいう小僧のつかまることや品ものの出ることについてはそのひとも度々の経験から期待をもっていないらしかった。
「あなたはどうお考えですか」
ゆうべから疑問に思えていたことを伸子が質問した。
「あの小僧は、本当のピオニェールだったんでしょうか、それともただピオニェールの服を着たよくない小僧だったんでしょうか」
ちょっと考えて、実直な顔をした若い私服のひとは、
「どっちとも云えないですね」
と云った。
「ピオニェールの組織は御承知のとおり大きな大衆組織で、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)市ばかりで数万の少年少女がそれに属しています。