轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
伸子は、枕もとのテーブルから紙をとってその耳飾りをつつんだ。そして、ベラ・ドンナの粉薬が入っているボールの薬箱へしまった。
しばらくして、ほんとにナターシャが病室へ入って来た。ちぢれた髪と、濃いはたん杏色の頬と、踵へ重みをかけた重い歩きつきとで。洗いたての真白い看護服と前かけをつけて、ナターシャの丸い姿はひとしお新鮮だった。伸子は、もうナターシャのおなかの大きさにすっかりなれているばかりでなく、おなかの大きい彼女を愛してさえいるのだった。
「ナターシャ、きょうはあなたのちびさんの御機嫌いかが?」
「オイ! とても体操しているんです」
その日は、伸子のひまな日だった。マグネシュームと下剤をのまなくてよかったし、ゾンデもない日だった。
白い病室の壁にまぶしいくらい雪明りがさしている。伸子は、ぼんやりその明るさを見ながら一つの黒い皮ばりの安楽椅子と、白フランネルで縫われた小さい袋とを思い出した。昔、伸子がニューヨークでスペイン風邪にかかったとき入院していたのは、セント・ルーク病院の小さい病室で、黒い皮ばりの大きな安楽椅子が窓と衣裳箪笥の間におかれていた。それは看護婦用のものだった。