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どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
フランスの貴族たち、王党の人たちは、自分たちが貴族であり王党でさえいられるならと、大革命のとき、外国から軍隊を招きいれて、あんなに祖国を蹂躪させた。トロツキストたちは、何の情熱で、外国の資本家たちの侵害の手さきとなるのだろう。ただ何でもかでも妨害したいためだろうか。政権への欲望というものはそういう狂気のような情熱をもたせるものなのだろうか。
伸子は、そのとき、もう一度、
「――じゃあ社説の要点だけでもいいから――駄目?」
ときいた。素子は、
「ぶこちゃんは、そんなに、こせこせしなくっていいんだよ」
と云った。
「ぶこちゃんみたいな人間は、今のまんまで結構なのさ。あるいたり、見たり聞いたりしてりゃいいのさ。――いずれはどうせ読めるようになるんじゃないか」
読めないなりに、伸子はデイリー・モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)のほかに、記事のかきかたのやさしいコムソモーリスカヤ・プラウダを外出のたびに買って来て見るのだった。
朝から夜まで素子と伸子とが、一緒に行動したのは、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)へ着いて、ほんの五日か一週間ぐらいのことであった。