轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
その前後にはじめて小説を発表するまわりあわせになった十八歳の伸子は、天才という人の心をそそるような、同時にマンネリズムによごされた言葉の裏に最も辛辣冷酷なものを感じていた。それをまったく感じようとしていない母の多計代の人生への態度との間に、伸子の一生にとって決定的なものとなったとけ合うことのできないへだたりを感じはじめているときだった。川辺みさ子がまだ弾くことのできない閉されたピアノのよこの薄暗いベッドで、伸子の手をにぎり、ほとんどききわけにくいまでに乱された舌で、未来の自分の音楽における成功と天才についてとめどなく話すのをきいていることは、伸子にとって苛責だった。
伸子は、川辺みさ子のところからほんとに逃げて、うちへ帰って来た。そして、自分の小部屋にひっこんで長いこと姿をあらわさなかった。川辺みさ子は、怪我によってどうかなってしまった。それを否定するどんな徴候も彼女に会っていた間の印象の中から見出せなくて伸子は人生の恐ろしさに身じろぎできないようだった。川辺みさ子に対する無限の気の毒さ、哀れさには、いつか伸子自身が自分の運命をそうはさせまいとしている本能的な抵抗がこめられていたのだった。