轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
永年夢みて来た黄金の国に彼らは遂に到着したのである。ピサロは神に感謝した。がその宝を手に入れようにも、彼の手には軍隊がなかった。遠征に着手して以来、この時ほど彼が武力を持たなかった時はないのである。彼はこの当時にはひどくそれを口惜しがったが、しかし後にはこのことを神の恩寵として感謝した。何故ならこの時にはまだインカ帝国の内乱は起って居らず、乗ずる隙はなかったのだからである。
征服の仕事に着手出来ないピサロは更に南下して沿岸の探検に従事した。到るところの港で土人は、果物・野菜・魚などをもたらして新来の客を款待した。顔色の明るい、輝く甲胄を着て雷火を手にした「太陽の子」らは、行儀正しく優雅であるという評判が、既に国中にひろまっていた。それと共にピサロは、いくら南下してもこの強大なインカ帝国が続いているのを見出した。そこには水道や運河で巧みに灌漑された豊沃な耕地があった。石と漆喰の建築があった。手入れの届いた街道があった。かくしてピサロは南緯九度あたりまで探検して引返したのである。
土人の款待と征服者たちのおとなしい態度とに就て、極めて示唆するところの多い挿話が一つある。