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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
この相違は、しかし、近世の開始にとって極めて重大な意義を担っている。それは展開するに従ってますます大きい相違に成育して行くものであった。
土民の一揆、及びそこから生み出されて来た民衆の組織や民衆の力の自覚は、鎌倉幕府以来の封建的遺制を一応覆滅させることができたのである。既に応仁の乱の初めに、尋尊大僧正は、土民と侍との間の階級の差別が失われたことを嘆いているが、その大勢はますます押し進められ、その後一世紀足らずの間に、鎌倉時代の名ある武家は殆んど悉く没落してしまった。源氏の流れを汲む名家だけを拾って見ても、足利氏及びその一族たる畠山、細川、斯波、吉良、仁木、今川、一色、渋川の諸氏、新田氏の一族たる山名、里見の両氏、佐々木氏の後裔たる六角、京極、尼子の諸氏、皆そうである。名家としての伝統、主家としての権威が人々を服従させた時代は、もう過ぎ去ってしまった。武士の主従関係を原理とする組織が崩壊したのである。民衆の力は解放された。貧しい農夫の子でも、組織の力、統率の力さえあれば、最高の支配者になることができる。物をいうのはただ実力である。ここにもし「民衆の支配」