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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

おめでたい話じゃないか」

「だまれ。無頼漢。貴様は貴様の友達にだけ話しかけろ。ここには貴様の友達はおらん」

「何が無頼漢だ。昔の女房を犬呼ばわり、紳士面が呆れらア。元々オレは男友達は嫌いのたちだよ。宇津木さんはさすがだな。女を犬よばわりのハムレットはないからな。女を犬とよぶからにはライオンぐらいの精神力を持つがいいや。思想と生活のトンチンカンなこんな奴が外国文学の紹介なんかしているから、日本はいつまでも田舎なんだよ。ねえ、宇津木さん、そうでしょう。我々はお友達になりましょう。第一、こんな奴と一緒に暮してたんじゃ、いつまでたっても本当の男を描くことができませんよ。我々は本日をもって我々の記念日たらしめようではありませんか」

「あなたのお幾つ目の記念日?」

「それは、あなた、カトリックの暦をくってごらんなさい。記念日ならざる日はなし、ですよ。我々も亦天主教にならって三百六十五日、すべて記念日たらしめなければならぬ」ピカ一は遠慮なく立上って秋子さんの手をとったが、秋子さんは退いて、

「あなたもお人の悪い方。殺人事件の犯人容疑者をからかうなんて」

「アレ、古風なことを言うお方だなア。