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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

十六 歌川家の秘密

カングリ警部が口をはさんで、

「そうですなア、それじゃア、どうでしょう、アタピンを毎日差向けますから、料理に立合わせたら」

「ええ、心得ました。私の目の黒いうちは、大丈夫」

ポンと胸を叩かんばかりの心得顔。

「この中に犯人がいらっしゃるか知れませんけど、私が睨んだら怖いんですよ」

それから多門老人と加代子さんのお通夜をして、私のねたのは二時すぎであった。

十六 歌川家の秘密

警官からの希望で、多門老人の遺言状をしらべることになったが、金庫をあけると簡単にでてきた。

しかし公式なものではなく、ただ多門の署名があるだけのもの。月日は、昭和二十二年七月二十四日、つまり殺される二日前に書いたばかりのものであった。

この遺言は一馬にとっては全く意外なものであった。

多門は先ず加代子が珠緒なきのち唯一の娘であることを告白し、遺産の全部を一馬と加代子の両名で公平に二分すべきことを書き遺しているのであった。

そのほかに、分配に先立って、お由良婆さま、片倉清次郎両名に二十万円ずつ与えるようにと書いてあった。

「片倉清次郎とは、どなたですか」

「一生を当家につかえた番頭ですが、この春から病気になって、休養している者です。