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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

十 気違いぞろい

飛鳥時代だな。尤も、ジャバだのバリ島のエロダンサーも飛鳥時代の原色エロさ。腰の線が、ふるいつきたいのさ」

ピカ一は、又、立ち上って、南洋土人の腰ふりダンスをやりだした。土人の唄まで、ちゃんと心得ている。手ぶり、腰ぶり、唄声、あざやかなもの、まったく南洋そのままの胴間声、御婦人連は呆気にとられ、一同の眼は憎悪から、隠しがたい讃歎の色に変った。

十 気違いぞろい

九時四十分であった。

広間へ由良婆さまがやってきた。あたりを見廻していたが、海老塚医師に、

「千草はいませんか」

「知らんです」

あいそのない返事である。傍らにいた宇津木さんが、ひきとって、

「千草さんはズッとお見えになりませんわ。食卓にもお見えにならなかったようね。そうでしたわね、海老塚さん」

「ぼく、知らんです」

「あやかさま、千草さん、御存じ? 食卓にいらしたかしら」

「いいえ、お見えじゃなかったわ」

「まア、どうしたのでしょうね。こちらかと思っていましたけど、じゃアどこにいるのかしら」

老婦人はたどたどしい足どりで引返して行った。婆さまは一度中風でひっくり返ったことがある。それ以来、歩行があんまり自由じゃなく、引きずるように歩き、階段の上下はつらいというのだが、外に適当な部屋がないので不便を忍び、這うように、階段を上下している。