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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

二十一 密会と拷問と拘引

僕が不安、気がかりなのは、八月九日のことですよ。いったい、何者が、何事を企んでいるのですか。八月九日に、僕がこんど殺されたとしたら、その結果は、どういうことになるのですか」

はじめのフン然たる勢いに似もやらず、語りすすむうちに、語気衰え、不安と恐怖のために、自然と顔がゆがんでいる。

巨勢博士が、時計を見て、立ち上った。

「時間がきましたから、僕は失礼します。八月九日までには、必ず帰るつもりですが、皆さん、お大切に。なんしろ、もう、神山さんの大推理にウットリしちゃって、すっかり時間がおくれちゃって」

と、挨拶もそこそこに、慌てふためいて、とびだして行った。

二十一 密会と拷問と拘引

その朝食後、鉱泉宿へでかけてみると、宿の亭主が気味悪そうに、

「又、昨日は大変なことで」

「やア、知っていますか」

「昨日は警察の方が二度もここへ見えられまして」

「やれやれ」

きいてみると、一度はカングリ警部の一行で、あと来た男は六尺ぢかい草相撲の横綱みたいな男だというから、これは神山東洋である。彼はハナレの窓から渓流へでて、時計で時間をはかりながら、歩き去ったということであるが、実は、この朝も、巨勢博士が慌てふためいて立ち去ると、彼も亦、追っかけるように出かけて行ったが、これはN町で、木ベエのアリバイを調べに行ったに相違ない。