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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

十八 七人目

ここもむろん静かであるが、然し、どちらかといえば、歌川家の洋館の方がもっと静かだ。ガッシリした鉄筋コンクリであるから、よその音もあんまりきこえないのである。

然し、静寂ということよりも、私は単調に疲れていた。それに、ああいう事件つづきで、お互に気心が知れないような気持をつつんで、顔つき合わしているというのは気づまりなもので、それで私は鉱泉宿へでかける。

この気持は私ばかりではなく、近頃は、みんな頻りに、日中は外出したがる。バスに乗って町へ行く者もある。丹後は、村の碁打を訪ねて、碁を打ちに行く。一馬も神経衰弱の気味で苛々と落付きなく、どこかを出歩いているようであり、全然外出しないのがピカ一と神山東洋で、この御両名は連日賭けの撞球に打ちこんでいる。どっちも三百ぐらいの手並で、時々巨勢博士が加わる。これが又、負けず劣らずの御手並、遊びならなんでも達人、生れついてのバクチ打ちの性なのである。この三人は昨夜から相談して、今日は朝から夕方まで一日中つきまくって勝敗を決する、全財産を失うともかえりみず、などと大変な意気込みで、神山東洋は早朝に目をさますと、サイカイ沐浴に及んだという話であった。