轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
07 第七分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 页
(獣にひとしいやつ)
と、嗤い蔑まれたあげく、抵抗ひとつできず、刺し殺されて、古井戸の鬼と化してしまった。
けだし人間の本性は、誰にせよ死にたいしては弱い。故に、いさぎよければ美しいものである。またそれを超えた境地が絶大な強さともなるのであった。だからまた、武門といわず、禅門の者も、あらゆる芸能の士も、その生死無境を目がけて、弱い自己をみがきもし、修養にも幾年月の苦行を敢えてするのであるが、これも到底、生半可では、いざという大事なときに、鎌田新介のような醜を演じないとはなかなか云いきれない。
(修行はできている。なんの、死を視ることは生も変りがあるものか)
などと自負している生修行こそ却って往々にして、やり直しのきかない末代までの不覚をとるものである。むしろ平生において自分の覚悟のほどを危ぶんでいるくらいな者のほうが誤りが少ない。それがむしろまったく、雑智や生分別などなく、素朴ありのままな生き方か死に方かである。
けれど、本能寺でも、二条城においても、鎌田新介などは例外な者であった。武門といっても無数なさむらいである。このひとりをもって織田家のさむらい達の名は少しも日頃を辱めてはいない。