轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

「大阪朝日新聞」1924(大正13)年3月~5月<br>「女性」1924(大正13)年11月~1925(大正14)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 179,399 字 · 353 页

青空文庫

もともとナオミを妻にしたのも彼女をうんと美しい夫人にして、毎日方々へ連れ歩いて、世間の奴等に何とかかとか云われて見たい。「君の奥さんは素敵なハイカラだね」と、交際場裡で褒められて見たい。と、そんな野心が大いに働いていたのですから、そういつまでも彼女を「小鳥の籠」の中へしまって置く気はなかったのです。

ナオミの話では、その露西亜人の舞踊の教師はアレキサンドラ・シュレムスカヤと云う名前の、或る伯爵の夫人だと云うことでした。夫の伯爵は革命騒ぎで行くえ不明になってしまい、子供も二人あったのだそうですが、それも今では居所が分らず、やっと自分の身一つを日本へ落ちのびて、ひどく生活に窮していたので、今度いよいよダンスの教授を始めることになったのだそうです。で、ナオミの音楽の先生である杉崎春枝女史が夫人の為めに倶楽部を組織し、そして幹事になったのがあの浜田と云う、慶応義塾の学生でした。

稽古場にあてられたのは三田の聖坂にある、吉村と云う西洋楽器店の二階で、夫人はそこへ毎週二回、月曜日と金曜日に出張する。会員は午後の四時から七時までの間に、都合のいい時を定めて行って、一回に一時間ずつ教えて貰い、月謝は一人前二十円、それを毎月前金で払うと云う規定でした。