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いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
「石狩川」大観堂、1939(昭和14)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 253,535 字 · 506 页
二
倖いに堀盛なるものが只今あちらに出張している。そのものと篤と談合なされるが便宜であろう。
――ことは、軌道に乗った。成就する日を待つばかりである。
二
あたかもそれを予告するように、嘗つてない穏かな航路であった。
開拓使附属の蒸気船庚午丸は、オダルの海の沖合に、さ霧のなかに浮んでいた。あのときは、――と、そこまで見送って来た家中の誰かが云ったものだ――夷人におびやかされて置いてきぼりにされたりしたものだが。そして、そこで口を噤んで、彼はその黒い船に見入った、これはすべて日本人の手によって操縦されているという説明が、なかなかじかに、どんと胸に迫らぬようであった。
季節は秋のさ中であった。間もなく冬に移るであろう――この時期の定まらぬ天候を思いだすまいとするのであった。最初にこうしよう、ああしようという人間の意志があるのだ。そして、天候や海潮は、よい意志なれば必ずそれに従う。そう思いたかった。
艀に乗り移ると、霧は降るように濃くなった。桟橋にいた連中もたちまち見えなくなった。同勢の五人は、低い舷にたたきつける大きな波を眺めていた。
なぜかほッとした思いでもあった。