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ちょうにんげんエックスごう
超人間X号
海野 十三
「冒険クラブ」1948(昭和23)年8月~1949(昭和24)年5月号、「超人間X号」光文社、1949(昭和24)年12月刊行の上記単行本で完結
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,025 字 · 178 页
迷えるロケット
博士も機械を操縦する手をやめて、しばらく呆然としてしまったのだった。
「それ見たことか。うわあはっは、わっはっは……」
X号の高笑いが、あてもなくこの成層圏を飛びつづける、宇宙航空船の中の人々の耳をおしつぶすようにひびきわたったのであった。
迷えるロケット
宇宙航空船は、いま、まるで迷ってしまったように、大空を矢のように走りつづけている。
高度はすでに、二万メートルをこえた。このままでは、地球の引力圏を脱して、月の世界へ飛んで行かないとも保証はできない。
操縦装置は、いまや全然博士の手におえず、この航空船の行手を知っているものは、ただ超人間X号だけだった。
「だめだ。もうぼくにはどうすることもできない。諸君もいよいよかくごをきめてくれたまえ――」
博士があきらめたように、目をとじた時である。操縦室の扉をひらいて、山形警部がとびこんで来た。
「先生、先生、たいへんです。たいへんなことが起りましたよ」
「これ以上、たいへんなことが起こるもんか」
博士の答えはぶっきらぼうだったが、警部はつかつかと博士のそばに歩みよると、その耳に口をよせて、恐ろしいことばをささやいた。