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どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
一九二九年になってからイギリスの炭坑労働者の合理化はひどくて、一六パーセント減った労働者数で、前年よりも一三〇〇万トンよけいに採掘している状態だった。賃銀は一交替九シリング六ペンスから九シリング一ペンス半に下げられた。こういう合理化と賃下げ、失業に反対する左翼は少数者運動と云われ、第三インターナショナルの影響のもとに行動しているといつも非難されているのだった。
ある日、伸子はペンネン通りにある一つの労働大学へ行って見た。十三番地のそこでは、「売家」と大きな広告の出ている露台のところで、二人の労働者が労働大学の看板を太い繩で歩道へつりおろしている最中だった。残務整理のために一、二脚の椅子と一つのテーブルだけをのこしてとりかたづけられた受付のところで、太ってたれた頬にそばかすのある五十がらみの男が、気落ちのした顔で伸子に閉鎖するわけを説明した。御承知のような現状で、炭坑労働者組合は三十人前後のものを教育するために年に三四千ポンドの負担にたえなくなったんです。このごろでは、ここで教育されたものがかえって政府や資本家の利益のために逆用されている。それでは労働大学をもってゆく意味がない。