轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

どうひょう

道標

宮本 百合子

第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页

青空文庫

紫のあざになってうちこまれたようだった。伸子は目の中に涙をうかべながら、再びそろそろ動きはじめた列について棺の裾を通過し、いかめしいマヤコフスキーの顎と額とを瞥見した。列に運ばれて広間の裏廊下から、階段を下りて白い雲のある星空の下に凍っている内庭へ出た。暗い内庭のなかほどに佇んで、出て来た建物をふりかえり、明るい大窓の中をまだ黒く動いている列の影を見たとき、伸子は深い顫慄におそわれた。伸子は生きているうちは会ったこともないマヤコフスキーの靴の裏から今夜秘密な小さい貴重なおくりものを手のひらのなかにもらって自分はそれをにぎりしめたことを感じるのであった。

九

マヤコフスキーの告別式があってから一週間ばかりのちに、メイエルホリド劇場で、故人の「南京虫」の初演があった。

五〇年後の社会主義の社会では、現在のソヴェト生活の日常につきもののようなわずらわしい南京虫、すなわち官僚主義だの、小市民根性だの、陰謀、利己心だのというあらゆる「害虫」は絶滅されて、わずか一匹の「南京虫」が過去の時代の記念物として、社会主義動物園に飼育されている。段々教室に腰かけた五〇年後の社会主義的青年男女学生は、合唱風におどろいたり、ふき出したり、罵ったりしながら、珍奇で醜悪な過去の棲息物を観察するという舞台だった。